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あひるの子はみにくい

あひるの子はみにくい 12話

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 その日、ユウコが大学に行くために部屋を出ると、アパートの前に見覚えのあるバイクが止まった。
 「タク……。」
 先週、ケンカをしてから話しもロクに出来なかった。
 仲直りをしにきてくれたんだ。
 急いで階段を駆け降りた。

 声を掛けようとしたが、思わず物陰に隠れた。
 
 「ありがとうございました、楽しかったです」
 そう言って彼のバイクの後ろから降りてきたのは、私の大学の後輩かつ隣人だ。

 「おう、またな」
 そういって彼が笑顔を作る。
 私に向ける笑顔とは質が違う気がした。
 
 「これも、ありがとう」
 そういって彼女が袋を持ち上げる。
 グランバニアホテルのロゴが見えた。
 クロワッサンか何かだろう。
 評判がいいと聞いたことがある。

 「じゃあ、また大学で」
 彼はそう言って再度バイクに跨り、走り去った。

 彼女はその姿を3秒ほど見送った後、振り返った。
 私と目があった。

 「あら、ヒロコさん。おはようございます。」
 鷹揚に笑みを浮かべる彼女は、相変わらずキレイだ。
 「タクと、どこ行ってたの?」
 彼女は声を小さく出して笑った。
 「覗いてたんですか?いい趣味ですね」
 「どういうこと?あなた、まさか-」

 彼女は私を無視して、自分の部屋へと歩いていく。
 「ちょっと待ってまだ話終わってない」
 私は彼女の手首を掴んだ、と思ったその時、予想以上の力で振り払われた。
 「私、知ってるんですよ。ヒロコさんのヒミツ。」

 真顔になった彼女に驚いて、声が出ない。
 秘密って、なんだろう?
 「それじゃ、また。」
 彼女は再び笑顔に戻ると、自分の部屋へと入っていった。

   ******

 その日は大学の授業がめいっぱい詰め込まれた日だった。
 彼女は、タクと寝たんだろうか。
 秘密とは、何だろうか。
 授業の内容は全く頭に入らなかった。

 一人で昼食をとっていると、ふいに携帯電話が鳴った。

 『こんにちは、元気ですか?』
 携帯電話の向こうで鈴を転がすような声がする。

 「ねえ、一度、話がしたい」
 私は、努めて冷静でいたかった。

 『話?いましてるじゃないですか』
 「いや、会って話がしたいな、と思って」
 『今、聞いたら?どうせ聞きたいことなんて一つでしょう』
 彼女は、私をからかっているのだろう。

 少し逡巡した後、思い切って尋ねた。
 「タクと何してたの?」
 電話の向こうで小さな笑い声が聞こえる。
 高校の時のリーダー格の女の子のことを思い出して、少しお腹が痛くなった。
 『寝た、って言ったら、どうするんですか?』
 
 改めて言葉にして聞くと、目の前が真っ暗になった。
 「ひどい」
 また彼女が笑う。
 『嘘ですよ。私があんな男と寝るわけないじゃないですか。ホテルには連れてってもらいましたけど。あの人には一人で寝てもらいました』
 
 「嘘」
 周りの視線が気になって、場所を移動しようと席を立って歩き始めた。
 『嘘じゃないです。私、人を眠らせる魔法が使えるんですよ。』
 『でもヒロコさん、あんな男とよく付き合ってられましたね。よかったじゃないですか、くだらない男だってことがわかって』
 
 彼女の言葉に、頭に血が上った。
 「ふざけないでよ!」
 思わず大きな声を出したら、すれ違う人々に怪訝な顔をされて、また気持ちが萎縮してしまう。
 自分の気の小ささが恨めしい。

 『あのね、ヒロコさん。私、あなたと付き合ってたわけじゃないです』
 「そんなの当たり前じゃない」
 『私、あなたの彼とは付き合いません、なんて約束をした覚えはないわ。浮気をしません、君だけだ、って約束したのはタクさんでしょう。だからね、ヒロコさんを裏切ったのは私じゃなくてあいつだってこと。あの人、もう成人してるんだし、自分で考えて行動できるわけでしょう?彼を責めたらいいじゃないですか。私、あなたに責められる覚えはないです』
 

 『もし、どうしてもお話がしたいんだったら、夕方、部室にきてください。待ってますから。』
 私が答えに窮していると、一方的に電話を切られた。
 情けなさと腹立たしさでいっぱいだ。

   ******

 タクは、昼過ぎに目が覚めた。
 少し寝てから大学に行こうと思ってたのに。

 いつも、こんな日はヒロコにノートをコピーさせて貰うのだが、今は気まずい。
 まあいい、誰か仲がいいやつ一人くらいは出ているだろう。

 そう思っていると、携帯電話が鳴り始めた。
 ディスプレイには、ヒロコの文字。
 電話に出る気分にはなれなくて、布団の上に放り投げた。

 ああ、自分はなぜ昨日、眠ってしまったんだろう。
 あの子といい雰囲気になったが、さすがにヒロコの隣りの部屋に転がり込むこともできず、かといって最初からラブホテルと言うのも格好悪いと思い、比較的高めのホテルに泊まることにした。
 しかし、部屋に入った途端に眠気が襲ってきて、そのまま朝までぐっすりだ。

 思い出してまた悔しがっていると、いつのまにか電話は鳴りやんだ。




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