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あひるの子はみにくい

あひるの子はみにくい 11話

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 ヒロコと付き合い始めたのは、いつだったか。
 タクにとっては、ヒロコは初めてできた彼女だった。
 
 高校時代は野球部に所属していた。
 部の中の半数以上は彼女を手に入れていたが、自分には出来なかった。
 なんとなく、いい雰囲気になった子は何人かいた。
 しかし、俺があと一押し、しようとすると逃げられた。

 みんな誰かと付き合っているのに、自分には彼女ができない理由がさっぱりわからなかった。
 高校というヒエラルキーのなかで、自分は平均より少し上にいたと思う。
 ただ、そこから上には行けない。

 そこから上に行くやつらは、みんな彼氏彼女を持っていた。
 
 大学に入ってから、周りの男も女も、自分よりも垢ぬけているように見えた。
 ファッションも会話も、高校時代のやつらとは全然違っている。
 もちろん、ダサいやつも存在していたが、そいつらはそいつらで固まっていて、くっきりと二極化されているように思えた。

 オシャレなほうのグループに入りたい。

 大学にも野球部があって、高校時代に野球部だった俺は、どこから情報が漏れているのか、露骨な勧誘を受けた。
 だが俺は、もう野球はやらないと断った。
 
 どうせ、野球選手になんてなれるわけじゃない。
 就職に有利だなんてまやかしだ。

 大学生活を派手に送りたい。
 チャラチャラしたサークルがいくつもあって、新歓には一通り顔を出した。
 
 そのなかで、部長がわりとキレイな女の人がやっているサークルに入ることにした。

 その部長とは、二人きりで出かけたこともある。
 彼女が運転する車で、オシャレなデートスポットに連れて行ってもらった。
 高台の公園。
 夜景が評判だ。
 彼女は車を止めると、俺の手を握ってきた。

 これはイケル、そう思ったのに、そこから先はうまく交わされた。
 まあいい、サークルに入って、仲良くなればいいんだ。
 
 そう思っていたのに、サークルに入ってから、彼女には社会人の恋人がいることが判明した。
 彼女に問いただすと、「そうよ?」と当然のような返事が来た。
 なにを思いあがっているの、私が君みたいなガキを相手にするわけないじゃない。
 彼女の目はそう言っている気がした。

 ここで揉めるのは格好が悪い、そう思って何も言わなかった。
 余裕を持った態度でいたつもりだったが、彼女はきっと全て見抜いているだろう。

 俺の誤算はそれだけではなかった。
 彼女に振り回されている間に、周りにはカップルが何組か成立していたのだ。
 焦った。
 このままでは、高校時代と変わらない。

 そんなときに目に入ったのが、ヒロコだった。
 基本的に地味な感じだが、顔立ちは悪くない。

 思い切って声をかけてみたら、案外あっさりと付いてきた。

 自分からは誰に対しても声をかけるのを躊躇うタイプらしく、ずっと声をかけられるのを待っていたようだ。
 そこから、とんとん拍子にコトは進んで、あっさり付き合うようになった。
 ヒロコも高校時代は誰とも付き合わなかったらしい。
 同じサークルに入るように勧めた。
 俺もオシャレなグループの一員になった、と思った。

 付き合いはじめると、案外つまらないものだな、というのが正直な感想だ。
 周りで付き合っているやつらを見ると、とても輝いて見えたものだが、実際自分がしてみるとそこまで楽しいことばかりではない。
 
 そんな中、ヒロコと少し険悪なムードになった。
 1年後輩にすごくキレイな女の子が入ってきたのだが、ヒロコがその子に対して少し意地悪なように感じたので、その事を責めた。
 ヒロコはむきになって言い返してきた。
 
 その顔を見ていて、なんでコイツと付き合ってるんだろうか。
 そう思ってしまった。
 ココだって、コイツにせがまれてわざわざ俺が予約したレストランだ。
 
 できるなら、あんな子と付き合いたい。
 あの子がサークルに入ってきてから、俺と良く目が合う気がする。
 もしかしたらあの子も、俺のことを-。

 その日、ろくに口もきかないままヒロコを家まで送って行った。
 「上がっていく?」
 そう聞いたヒロコに、首を横に振った。
 「じゃあな」

 次の日から、ヒロコからは何回かメールが来たが、おざなりな返事しか返さなかった。
 しばらくすると、ぱったりとメールが来なくなった。

 それでもいいと思った。
 なぜなら-。

   ******

 「ヒロコさんから、ですか?」
 「いいや、高校の時のツレ。ヒロコからはしばらくメール来てないな」
 俺は、携帯をしまいながら答えた。
 「そうですか」
 いつかの彼女に連れてきてもらったデートスポットだ。
 遠くの夜景が、キレイだ。
 
 「わたし、タクさんのこと、初めて会ったときから、ずっと」
 目の前の女の子が、大きな瞳に涙を浮かべながら言う。
 「俺も、アサコちゃんのこと、好きだよ」
 彼女の目から涙が落ちた。



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