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あひるの子はみにくい

あひるの子はみにくい 10話

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 翌日も、翌々日も、タクと仲直りがしたくて何度か話しかけようとしたが、こんな日に限ってゼミの予定が入ったり、タクもバイトが忙しそうだったりして、話ができないまま1週間が過ぎた。

 「ヒロコさん」
 バイトが終わり、棒になった足を引きずって家まで帰ると、隣のアサコも帰ってきたところらしかった。
 「あらアサコちゃん。今かえり?」
 
 「どうしたんですか、すごく疲れてるみたい」
 アサコのキレイな顔が、私を覗き込んでくる。
 「ちょっとね、今日はバイト延長しちゃったし」
 じっと私を見つめるその顔は、どこか見覚えがあるような気がした。

 「クマ、出来てますよ」
 慌てて目の下を抑える。コンシーラーでは隠しきれなかったようだ。
 「最近、忙しかったから」
 タクにメールは送っているものの、2通に1通しか返事がない。

 完全に返ってこないよりも辛い。

 布団に入ると嫌なことばっかり考えてしまうので、あまり眠れない。
 「なにか悩みでもあるんですか?」
 見透かされたようで答えに窮していると、「ちょっと待っててくださいね」といって彼女は自分の部屋に入って行った。

 私も自分の部屋に入って待っていると、きっかり30分くらいしたところでチャイムが鳴った。
 扉をあけると、アサコがタッパーをたくさん抱えていた。
 「悩むより、食べちゃった方がいいですよ」
 そういって彼女は半ば強引に私の部屋に入ってきた。
 タッパーの中身を皿に移し終えると、また部屋に戻って今度はワインを持ってきた。

 イワシのマリネ、タラのムニエル、タンシチュー。

 こんなものが30分で作れたのだろうか。

 「昨日はりきって作りすぎちゃって。一緒に食べてください」
 アサコは、そういって箸を渡してきた。
 「うん」
 彼女の強引さは意外だったが、いやな気分はしなかった。

 その日はいつもよりも酔うのが早くて、タクとあまりうまくいってないこと、メールの返事が返ってこないことなど、ほとんど喋ってしまった。
 「そんなときは、こっちからも連絡するのをやめちゃったらいいんじゃないですか」
 「え?」
 「ヒロコさんがずっとメールしてるから、タクさんもつけあがっちゃうんですよ。いっそのこと別れ話とか切り出してみるのもいいかも。やばいって思って向こうからすがってきますよ。きっと。」
 「でも、別れるっていうのはなあ」
 「だって今のままじゃ嫌でしょ?ヒロコさんも。タクさんに、ヒロコさんのありがたみを分からせてやるんですよ。せめてタクさんがヒロコさんを無視した分、ヒロコさんも無視してやるんですよ。仕返しです。」
 
 「うーん」
 ワインのせいで、うまく頭が回らない。
 「あ、そのピアスかわいい、この間の旅行の時に買ってたやつでしょ?」
 「これ?」
 サークルの旅行で行った先にはガラス工房があって、そこで買ったやつだ。でも―。
 「でもこれ、アサコちゃんも買ってなかった?」
 彼女も同じものを買っていたような気がして、尋ねた。

 「私が買ったのはこれですよ」
 そう言って彼女はワイングラスを持ちあげた。
 「そっか、そうだった」
 言われてみれば、買っていたっけ。

 私はいつのまにか、眠りに落ちた。




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