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赤い鬼と青い鳥

赤い鬼と青い鳥 2話

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 「お姉ちゃん、お姉ちゃん」
 妹が私を呼ぶ声が聞こえる。
 「起きてってば、もう」
 うっすらと目をあけると、妹のルカが私の顔をのぞきこんでいた。
 「信じられない、教会で居眠りするなんて」

 どうやら私は眠っていたらしい。
 やはりあれは夢だったか。わかっていたことだが、頭のどこかでがっかりした。

 「式は来月なんだから。はやいとこドレスだけでも決めないと。」
 寝起きでぼんやりした頭にむかって、妹は遠慮なく責め立てる。
 「ドレスはトオルさんと相談して決めるんじゃなかったの?」
 「何言ってるのよ、トオルさんは来週いっぱいまで海外公演で忙しくて式の準備にかかれないから、ドレス選ぶの手伝ってってお姉ちゃんが言ったんじゃない」
 「私が?」
 「そうよ、だから私がここにいるんでしょ。もうちょっとしっかりしてよ、自分の結婚式なんだから」

 妹が何をいっているのか、理解できなかった。
 「私の結婚式―?」
 「そうよ」
 「トオルさんと結婚するのは、私?」
 「なによ、ふざけてるの?」
 「ルカちゃんじゃないの?」
 「怒るわよ」
 口をつぐんだ私をみて、妹は小さくため息をついた。
 「そうそう、お姉ちゃんのピアノ演奏のこと、曲目とか長さとか知りたいって担当のナントカさんが言ってたわよ」
 「私、ピアノ弾くの?」
 「なんなの、さっきから。頭でも打った?有名ピアニストの森野ミチルさん」

     ******

 スキルをリセットできると鬼に言われ、一番に考えたのはピアノのことだ。あのとき、ピアノをやめなければ。妹なんて足元にも及ばない腕前であったに違いない。
 だから、宝石ひとつのときスキルはひとつしかリセットできないと聞き、焦った。これでは、ピアノスキルは100にできないではないか。
 「なんとかあと一つ、くれない?」
 鬼に頼んでみたものの、一人ひとつしか渡せないとのことだった。
 「そういえば、宝珠が手に入る魔法の呪文を聞いたことがある。これも使えるのは一度きりだけらしいが…」
 「なんなの、もったいぶらないで」
 「“イッテンヨンキネン”だ」
 「は?」
 「私も詳しくは知らない。信じるかどうかはそなたの自由だ。」

 口の中で呟いてみた。イッテンヨンキネン。
 
 宝石を握っていた右手を開くと、宝石が4つになっていたので、驚いた。

 私は、その中の2つを使い、絵画とダンスをリセットし、ピアノスキルを100にした。
 スキルは100が最高であるらしいので、これで妹のハナをあかすことができる。
 もっとも、妹はそこまで真剣にピアノをやっているわけではないだろうが。

     ******

 「お姉ちゃん?ホントに大丈夫?」
 妹が心配そうに私の顔を覗き込んだ。
 ふと鬼のいた辺りに目を凝らしてみたが、影も形も見えなかった。もちろん炎も。
 ただ、右手を開くと、宝石が2つ、確かに残っていた。

 あれは夢ではなかった。

 「大丈夫。もう大丈夫よ。」
 妹にむかってほほ笑むと、ゆっくりと立ち上がった。

 小さいころから妹に対し、ずっと試合に勝って勝負に負けてきた私は、ようやく妹に勝ったのだ。
 結婚を決めた私を見つめる妹の視線に、嫉妬の色が混じってのがよくわかる。だってそれは、私がずっと妹におくってきた視線だ。

 「ご飯、いこうか。おごってあげる」
 「あたりまえじゃない、ご馳走してくれるって言うから今日つきあったんでしょ」
 「そうだっけ」
 「まあいいわ、早く行こ」

 ご飯を食べながら、妹からそれとなく色々と聞き出した。ときどき怪訝な顔をしていたが、気付かないふりをした。
 妹はやはりバーでピアノを弾くアルバイトをしている。以前と違うのは、“森野ミチルの妹”という看板を背負っているということだ。私が妹のバーに行ったとき、たまたまそこに居合わせた指揮者の久保トオルと知り合った。お互い音楽関係の仕事ということで意気投合し、交際が始まった。プロポーズはそれから4カ月後、いまから半年前だ。
 以前の私は、妹がピアノを弾くバーに足を運んだことなど一度もなかった。

 たったそれだけのことで、運命は変わっていたかもしれないのに。

 妹と別れ、タクシーで家に帰った。
 家は以前と変わっていなかったが、インテリアは高級なものが増えていた。
 どうやらそこそこ稼いでいるらしかった。

 「チルチルちゃん、ただいまー。」
 ペットのセキセイインコに声をかけると、エサをあげるために鳥かごに近づいた。
 するとチルチルは、バサバサと落ち着かない様子で鳥かごのなかを飛びまわり、しまいにはギャギャギャッとこちらを威嚇し始めた。
 「なんなのよ」
 手早くエサと水を取り換えると、さっさと鳥かごから離れた。
 チルチルには、以前の私とは変わってしまったことがわかるのだろうか。
 鳥かごから離れると暴れることはなくなったが、チルチルは私が眠るまでずっとこちらを見ていたような気がした。

 翌日、目が覚めると、昨日のことはすべて夢だったのではないかと思い、部屋の中を見渡してみた。みなれない高級家具がいくつか置いてあるのを見つけ、ほっと胸をなでおろした。どうやら、まだ私は幸せの中にいる。

 昨日は部屋の中をじっくり見ることもなく眠りについてしまったが、あらためて見渡すとここは明らかに結婚間近の女のそれだった。テーブルには結婚情報誌が置いてあり、部屋の片隅には恋人との写真がピンクの写真立てに入っている。
 自分は結婚がきまってもこんな写真立ては使わないだろうと思っていたが、実際使ってみると案外悪くないものだ。
 写真の中で私の肩を抱く婚約者は今、海外にいる。
 はやく会いたくてたまらなかった。

 ドレッサーの引き出しには、例の宝石が2つ置いてある。





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