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赤い鬼と青い鳥

赤い鬼と青い鳥 1話

 ←はじめまして。 →赤い鬼と青い鳥 2話
 
鏡には、2人の女がうつっている。
 ウェディングドレスを着た方の女は、うっとりとその姿を見つめている。まるで自分自身に恋をしているかのようだ。
 普段着の女も、ウェディングドレスの女を見つめている。そして、ため息をついた。

 「きれいじゃない。それにしたら?」
 普段着の森野ミチルは、半分呆れながら勧めた。ドレスの試着はもう4着目だ。
 「えー、でも肩のデザインはさっきのほうが好きなんだけどなぁ」
 ドレスを着た森野ルカは、鏡から視線を外すことなく答える。ミチルには、妹がそう答えることは予想がついていた。

 私は今、不幸ではない。
 しかし決して、幸せじゃない。

 どうしてこうなったんだろうー。
 ミチルは、自分自身の姿が鏡にうつっているのをみつけるとまた小さくため息をついた。

 妹と比べると私のほうがずっと美人だ。子供のころから成績もよかった。ピアノも絵画もダンスも習っていた。どれも平均以上の実力だった。偏差値の高い大学へすすみ、名の知れた企業に就職した。
 なのに昔から得をするのは妹のほうだ。自分がどんなに頑張っても注目されるのはいつも妹。妹はいま、バーでピアノを弾いて生計を立てている。そこで有名楽団の指揮者と出会い、結婚までこぎつけた。妹のピアノの腕はどうひいきめに聞いたって中の上だ。私たちは二人とも習っていたのだが、妹の腕前が私に届いたことは一度もない。まったく、彼が妹のどこを見初めたというのか。

 おねえちゃんは美人ね、ルカちゃんは愛嬌があるね。
 小さいころ、親戚のオバサンによく言われた。言われた当時はそれが私に対する褒め言葉だと思っていたが、今となってはわかる。妹に対する褒め言葉だ。愛嬌があるというのは人生における最大の武器だ。妹の結婚相手が彼女を気に入ったのは、つまりそういうところだ。
 要領がいい、それが妹を形容する一番の言葉だと思えた。

 「やっぱりトオルさんと相談して決めることにするよ」
 妹はわるびれることなくそう言った。これも予想はついていた。妹はただ、ドレスをあらゆる人に見せびらかしたいのだ。
 「そう。じゃあ早く着替えなよ。ご飯食べに行くんでしょ」
 「はーい」
 妹は向きを変え、奥の部屋へ向かっていく。ドレスのフリルが揺れた。
 このあと、妹にご飯をねだられていた。結婚祝い、今日で何度目だ。

 「ごめんね、携帯電話わすれたみたい。先にいってて」
 下見にきた式場の玄関で、予約している有名レストランに向かうためにタクシーに乗り込もうとする妹を呼び止めた。
 「えー、一人であのレストラン入るなんていやよ」
 「敷居が高い?」
 「そういうわけじゃないけど……。式場にわすれたの?はやく探そうよ」
 「うん、あそこでメール受けたのは覚えてるから、式場にあるのは間違いないと思う」
 「だったらここで待ってる。見つかったら電話ちょうだいよ」
 「わかったわかった」

 正直、妹と一緒にご飯を食べるなんて嫌だ。毎回。2時間弱のろけ話に付き合わされ、ちっとも楽しくない。妹は、恋人をきらした時期はなかった。
 外では雨が降り出した。カバンの中で携帯電話がメールの着信を知らせるバイブの音が聞こえる。

 教会のドアを開け、一番後ろの席に座った。
 ふと、家で飼っている青いセキセイインコのチルチルのことが気になった。
 今朝はエサをやったんだっけ-。

 雨雲のせいか、外はますます暗くなってきた。

 「え……」

 祭壇のオルガンの前に、鬼が現れた。
 赤い肌、額に角があり、中世ヨーロッパの貴族のコスプレのような恰好をしている。

 うっすらと、見えるか見えないかのその鬼は、窓の外はるか遠くをみており、こちらには気づいていないようだ。

 幻覚だ、と思った。
 しかし、まばたきをしても目をこすってみても、鬼は消えない。

 鬼を見つめていると、向こうもこちらに気付いたようだ。
 目があった瞬間、恐怖がどっと押し寄せてきた。
 逃げなければ…と思った瞬間、鬼が口を開いた。

 「私がみえるのか?」
 見えている像が、聞こえてくる音が、現実なのか幻なのか、その区別がつかない。
 逃げようにも体は動かず、声を出そうにも息がもれるばかりだ。

 「おどろいた、また私が見える者に出会えるとは。」

 鬼はジウバと名乗った。
 どうやら危害を加える気はないようだが、足の震えはとまらない。

 「ここは昔、スキルをリセットするための祭壇があった。多くの者がひっきりなしに訪ねてきたのものだが、いつのころからか訪問者は減り始めた。最後に誰かが来たのがいつのことだったか。遠い昔のことだ、忘れてしまった。」
 「スキル……リセット……」
 「そうだ。経験値を積むにつれて人はたくさんの技能を身につけることはできるが、なんでも手に入るわけではない。剣と斧、両方達人クラスに使いこなすのは至難の業だ。」
 「剣と斧?」
 「この時代にはどちらも必要なかったか。この時代に例えて言うなら、野球選手になりたければサッカーの技能を磨く暇はないということだ。」
 「野球とサッカー、知ってるんだ」
 「ここから様々な人間関係を見つめてきたからな」

 鬼は、そこから様々なことを喋っていた。ほとんど理解できなかったが、要するにここは、野球選手をサッカー選手に変えることができる場所であったらしい。
 それならば-。

 「私も、リセットしたい」
 鬼にそう頼んでみることにした。どうせここは夢の中。なるようになれ。
 すると、驚くほど鬼があっさりと承諾したので拍子抜けした。
 「そうだと思っていたよ。この時代に私の姿を見つけるとは、よほどやり直しを渇望していたらしい。」
 鬼は、不思議な光沢を放つ宝石をこちらに差し出してきた。
 「これは“やりなおしの宝珠”。これをささげることでスキルはリセットされる。本来はガミルゴの護符を納めたものにだけ渡していたものだが、この時代にあれを手に入れるのは不可能に近いからな。ひとつ、特別にそなたに差し上げるとしよう。」
 「これで、やり直せる?」
 鬼が目をつぶり、なにかを念じると、祭壇中央の十字架があるあたりに、青い炎がうっすらと浮かび上がった。
 「さあ、その宝珠を炎に掲げるといい」
 言われたとおりにしてみると、頭の中に数字が浮かんできた。ピアノ50、絵画32、ダンス18-。
 「そなたが生きていく上の武器は、ピアノと絵画とダンスなのだな。これは人によって異なるものだ。宝珠1つに対しやり直しができるスキルは1つ。さて、どれをリセットする?」

 この話を鬼から聞いてから、私の心は決まっていた。
 宝石が、青い炎に吸い込まれた。





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~ Comment ~

お初です

ブログ開設おめでとうございます。
小説系なんだね。後半でドラクエがからんできて驚きました。
かってにリンクを張ろうと思います。
よろしく。

びっくらこいた!!

どうしたハニーさん!!
ブログ始めたのも驚いたが、
趣味で小説書いてるとは・・・

もしかしてまだ何か隠してる?ww

その教会はいずこにっ!

変態(本人は自覚ないのですが、周りの方々からよく言われます) をリセットしたいのですが。。。

小説。。。いい角度からドラクエへ繋がっていきますな。。。
チェックリストに登録やw

いくしむさん、あきびんさん、ルリヲさん

ご訪問ありがとうございます
…って、どうしてバレたんでしょう、ブログ始めたこと
もうちょっと軌道に乗ってからチームのみなさんに
発表しようとおもってたのに;;

これからもご贔屓にー
管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

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